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2.1万 回視聴 ・ 405いいね ・ 2025/06/02

うつ病で「頭が回らないとできなくなること5つ」を精神科医が徹底解説。
#精神科 #うつ病 #頭が回らない

0:05 (1)はじめに
0:28 (2)うつ病と「頭が回らない」症状
6:11 (3)うつ病ので頭が回らないとできなくなること5つ
6:19 ①家事
8:51 ②会話
11:01 ③読書
13:21 ④自己管理
15:46 ⑤仕事
18:16 (4)まとめ

うつ病は落ち込み以外に、思考力などの脳機能が低下して「頭が回らない」と自覚する場合があります。その場合、家事・会話・読書・自己管理・仕事と様々に「できないこと」が発生して影響が出るため注意が必要です。

「うつ病で頭が回らないとできなくなること5つ」について、精神科医が19分で解説しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

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↓詳しい内容はこちらです。

(1)はじめに

うつ病というと、気分の落ち込みや悲しみといった症状が注目されがちですが、実は「頭が回らない」という症状も大きな問題となります。この症状は生活の様々な場面に影響を与え、時間差はあるものの適切な治療により改善が期待できます。

うつ病は気分だけでなく思考力を奪う病気です。落ち込みなどの症状が有名ですが、思考や感情、行動、身体機能にも影響が出ます。誰でもかかる可能性があり、どの年代の方においても注意が必要です。日常生活に支障をきたし、仕事の困難のほか、生活全般に強く影響することがあります。

(2)うつ病と「頭が回らない」症状

うつ病の主な症状

うつ病の症状は大きく3つに分けられます。

**こころの症状**では、落ち込みや罪悪感が目立ち、思考力など脳の不調が現れます。**からだの症状**では、だるさや疲れやすさのほか、様々な自律神経症状が出ることがあります。**行動の変化**では、人を避けたり、イライラするなど、外から目立ちやすい変化が現れます。

「頭が回らない」とは

専門的には「認知機能の低下」と呼ばれ、「頭に霧がかかった」と表現されるような状態です。思考力、集中力、記憶力、判断力など幅広い機能が低下し、DSM-5という診断基準でも思考力や集中力の減退として記載されています。

具体的には、集中力の低下により会話や読書に集中することが難しくなり、テレビを見ても内容が頭に入りません。記憶力の低下では、新しいことを覚えることができず、約束や出来事を忘れてしまいます。注意力の低下により、すぐに気が逸れてしまい、忘れ物やケアレスミスが目立つようになります。

判断力や決断力の低下では、些細なことも決めづらくなります。思考力の低下では、考えがまとまらず堂々巡りを繰り返します。実行機能の低下により、計画や段取り、何かを始めることが難しくなります。

脳の変化と回復の特徴

うつ病では実際に脳の構造的変化が起こります。記憶や情動に関わる海馬や扁桃体の体積が減る可能性があり、実行機能に関わる前頭前野の変化も報告されています。神経伝達物質のバランスも崩れ、セロトニンの不足などが脳機能に影響します。

重要なのは、回復には時間差があることです。気分症状の改善が先に起こり、「頭が回らない」症状は遅れて改善します。この期間は見えにくい後遺症として続き、周囲からは理解されにくい苦しみとなります。

(3)うつ病で頭が回らないとできなくなること5つ

①家事

家事全般がスムーズにいかず、日常生活に困難を感じるようになります。

**献立の作成や調理**では、段取りが困難になり、以前できていた調理ができなくなります。**買い物**では、何を買うのかの判断ができず、店に行っても買い物ができません。**掃除や片付け**では、一連の動作が難しくなり、結果として部屋が乱雑になってしまいます。

これらの背景には、実行機能の低下、思考力の低下、注意力の低下があります。献立を決める、買い物リストを作る、優先順位を決めるといった複合的な作業が困難になるのです。

**対策**としては、やることを細かく分けて負担を減らし、完璧を目指さないことが大切です。食洗器などの家電を活用したり、家族と分担・協力したり、場合によっては家事代行サービスの利用も検討できます。

②会話

聞くことも話すことも難しくなり、周りから孤立しやすくなります。

**聞き取れない**状態では、話に注意を続けることが困難で会話に遅れてしまいます。**考えがまとまらない**ため、言いたいことを整理できません。**伝えられない**状況では、話がまとまらず言葉も出てきにくくなります。

具体的には、会話の内容が頭に入らずすぐに忘れてしまい、適切な言葉で返すことが困難になります。時に的外れな返事をしてしまったり、何を話していたか分からなくなって沈黙してしまうこともあります。

**対策**としては、ゆっくり短い言葉で話し、伝えたいことをメモしておくことが有効です。周囲の方は最後まで聞いて急かさず、分かりやすい言葉で話し、沈黙を責めないことが大切です。

③読書

本以外にも文章の処理が困難になり、仕事にも大きな影響が出ます。

**文字を追うことが苦痛**になり、以前楽しめていた読書が困難になります。**内容が頭に入らない**ため、同じ行を何度も読み返すことになります。読書が気分転換だった方は、その方法を奪われてしまいます。

集中力の低下により文章に注意を向け続けられず、情報処理能力の低下で文字情報を意味のある内容として理解することが困難になります。記憶力の低下により読んだ内容をすぐ忘れてしまい、考え事があると集中を妨げてしまいます。

**対策**としては、静かな環境で短時間に区切って読む、簡単で短い文章や図が多いものを選ぶ、オーディオブックを活用する、メモを取りながら読むなどの工夫が有効です。

④自己管理

日常のことの自己管理が全般的に難しくなります。

**服薬管理**では、計画性・判断力の低下により、薬の種類や時間を間違えたり、飲み忘れてしまいます。**金銭管理**では、思考力の低下により収支の把握や計画的な支出が困難になります。**スケジュール管理**では、注意力の低下により約束を忘れることが増えます。

これらの背景には、判断力の低下(何をすべきか、何が重要かの判断が鈍る)、記憶力の低下(服薬時間や支払期日、約束を忘れる)、実行機能の低下(計画的行動や物事を始めることが困難)があります。

**対策**としては、薬カレンダーやリマインダーアプリを使った仕組み化、家族による服薬の声掛けや金銭管理の相談、医師や支援者からの専門的助言の活用が有効です。

⑤仕事

業務も対人面も困難が出て、イライラからトラブルになることもあります。

**業務効率**では、集中ができず判断が遅れ、仕事が先送りになってしまいます。**ミス**では、記憶力の低下や注意散漫、判断ミスによりミスが多発します。**コミュニケーションの困難**では、人と会話することが億劫になったり、トラブルに発展することがあります。

思考力の低下により問題解決能力が低下し、論理的思考が困難になります。判断力の低下により適切な判断や優先順位付けができなくなり、実行機能の低下により業務の計画・段取りやマルチタスクが困難になります。

**対策**としては、職場への相談(業務量調整、休憩の工夫、明確な指示)、ツールの活用(メモ、TODOリスト、リマインダー)、制度の活用(産業医面談、必要時の休職、リワーク)が重要です。

(4)まとめ

うつ病では落ち込みのほか「頭が回らない」認知機能の低下が現れます。これは努力の問題ではなく脳の不調であり、回復には時間差があることを理解することが大切です。

症状は家事、会話、読書、自己管理、仕事と広範囲に及び、生活・仕事全般に影響します。しかし、適切な治療により改善が期待でき、回復するまでの間は現実的な工夫を取り入れながら対処していくことが重要です。

周囲の理解とサポート、そして本人に合った対策を見つけることで、この困難な時期を乗り越えることができるでしょう。

こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)

#できなくなる  #精神科医 

【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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